休日
家には使っていない菜園があります。半分は駐車場になってしまいましたが、あと半分30坪くらいは放置したままで草木が茂った状態になっています。
せっかくあるのに使わないのはもったいないので、何か植えようと思い、ホームセンターへ木を買うために車で向かいました。
途中、寺の柿の木の下の道を、足を引きずった白い犬が歩いていて、ふたりの子供が枝を持って何か叫びながら犬を追いかけていました。犬は早く歩けないようで、顔だけはそれでも逃げている気持ちのようでした。
僕は柿の木を買おう、と思いました。
ホームセンターに着くと意外に菜園のコーナーが繁盛していました。
客層は年齢は60代以降、首都圏から伊東に移って来て家庭菜園を趣味でやるって感じに見えます。着ているものや表情から都会人ぽさを感じました。
柿を探しながらいろいろ苗木を見て歩く。プラム、りんご、みかん、もも、変わったところではアーモンドなんかもあった。それらを眺めて果実がなる様子を想像するのは楽しいです。
「伊東はみかんをつくるのに向いているんだよ。あとは林檎だね。ここで売っているものは品のわりには安いよ。」と、山梨から移住してきたというお客さんが教えてくれました。
少しずつでも客が減らないものだろうか、店員さんに初心者でも扱いやすい木を教えてもらおう、と思いレジへ進むと、
なんと先程の足を引きずって逃げていた白い犬が、そこに、いました。
ハッハッと息を切らしながら、舌を出して口は開きっぱなしなので、顔は笑っているように見えます。
いつの間にここまでたどり着いたのか？距離にして１kmはありそう。
そして、レジの店員はこの犬の存在をまるで気にしていない様子です。
犬はふらふらと様々な苗木のある市場を通り過ぎて、事務所の勝手口の前まで来て座りました。
しばらく見ていると、勝手口から作業服を着た初老の男性が出て来て、トレーで犬に水を与えると、何か話ながら犬の頭を撫でてました。犬はよほど喉が渇いていたようで、水をむさぼっていました。
さてはこの犬、ここに勤めている飼い主を迎えに来たな。
悪い足を引きずってこの距離を。
やはり私は柿を買って、その後、ペットコーナーに寄りましたが、犬など買えるわけもなく、ショーケースに入った犬にガラス越しに指を追いかけさせたりして遊んんでから
帰りました。
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